阿弥陀と秘密空間といえば、日本仏教史でもっとも早く思い浮かぶのは南九州の隠れ念仏であろう。それは、阿弥陀信仰史において非常に重要な例であるが、実際には隠れ念仏・隠し念仏の集団は日本全国で結成された。しかもそれは、南九州の次によく知られている東北地方だけではなく、岐阜県や石川県も含む。自らの宗教行為を隠すということには、様々な理由が考えられるが、その結果として、特定の地域あるいは集団にしかない空間が生まれる。そうした空間は、信者の「異端」とされた信仰を絶滅から免れるための手段だと言える。
本発表では、近世に注目し、以上の事例を含め阿弥陀信仰における広義での秘密空間に焦点を当てる。隠れ念仏の「ガマ」をはじめ、阿弥陀の密教作法や秘事法門を分析する。本発表の目的は、それらの現象の政治的原因などを明らかにすることではなく、隠されることになった空間の構造とその裏面にある「正統」な空間の構造との違いから、秘密が果たす機能と新たに成立する教義理解の二面を明らかにすることである。
使用言語: 日本語
講演会場での聴講は最大10名までとなります(研究者・学生優先)。
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