概要

イタリア東方学研究所は、日本における人文科学のあらゆる分野におけるイタリア人研究者をサポートする機関です。

現在イタリア文化会館・東京の協力のもと、在日イタリア大使館、イタリアの大学および研究機関(ナポリ東洋大学、ベネツィア・カ・フォスカリ大学、トリノ大学、フェデリコ2世・ナポリ大学、ラ・スタターレ・ミラノ大学、ミラノ・ビコッカ大学、ISMEO — International Association for Studies on the Mediterranean and the East)から多大な支援を受けています。

フランス国立極東学院(EFEO)京都支部の館内にあり、同学院、並びに京都大学人文科学研究所と提携して様々な学術活動を行っています。ヨーロッパの23の主要機関にネットワークを持つ旧ヨーロピアンコンソーシアムアジア研究部門にも所属するなど、日本におけるヨーロッパの研究機関の中で、イタリアのセンターとして大きな役割を果たしています。

当館ならびに提携機関の企画する学術会議やイベントには、イタリアのみならず全世界の研究者が参加することができ、国際的なレベルでの学術振興に貢献しています。

沿革

1984年の創設以来、さまざまな学術イベントの開催、研究活動の企画ならびに研究者、博士課程の学生、大学院生などへの支援、その他学術出版物の刊行を行ってきました。イタリア文化会館・京都のセクションとして誕生し、2001年ー2008年はイタリア外務省、Istituto Italiano per l’Africa e l’Oriente (Is.I.A.O.)、ナポリ東洋大学 Istituto Universitario Orientale di Napoli (現在の Università degli Studi di Napoli “L’Orientale”) の2年協定により運営されました。2009年からは3年協定となり、イタリア外務省とともに多くのイタリアの大学や研究機関が、在日イタリア大使館とイタリア文化会館を通じて参加しています。

長年にわたり、特に東アジア諸国や日本との学術的協力を強化するため、日本にあるヨーロッパの研究機関と連絡を取り合い、さらには、この分野におけるヨーロッパ研究の統合システムの構築にイタリアが貢献することを表明しています。同時に、これまで多くの日本人研究者との密接な関係も築いてきました。特に京都大学とは正式な協定を結んでおり、他にも主要な国公立大学や私立大学に加え、5つの国立文系研究機関とより柔軟な形で提携を結んでいます。

また、研究所が位置する京都は、2023年に文化庁が移転されるほど学術・文化機関の集結地であり、多くの専門家が集うことから、東アジア全体を見渡すにはもっともふさわしい場所だといえるでしょう。

支援機関

大学と研究機関

La Scuola

ナポリ東洋大学

ナポリ東洋大学「L’Orientale」は、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカの言語、文化、社会に関する研究が統合されたヨーロッパで最も歴史ある中国・東洋学の研究機関であり、創設以来、それぞれの文化の違いや接点を浮き彫りにする研究センターとして、多くの研究者を受け入れてきました。現在「古代学、言語学、歴史芸術学」、「歴史学、哲学、教育学、心理学」、「法学」、「経済統計学」「政治社会学」など多岐にわたる学部を有しています。

La Scuola

ベネツィア・カ・フォスカリ大学

カ・フォスカリ大学は、経済、商業、言語の習得を目的とする高等研究所として始まり、今日でも現代語の教育においてその経験が生かされています。8つある学部の多くは歴史的、芸術的に大変価値のある建造物の中に位置し、アジアならびに地中海アフリカの言語と文明の学位コースにおいては、考古学や比喩芸術などの歴史芸術科目から、制度の歴史、経済、国際関係など社会政治学の科目にいたるまで、非常に幅広い選択肢を提供しています。また、近東、中東、極東にて数多くの研究プロジェクトも行っています。

La Scuola

トリノ大学

700年の歴史を持つトリノ大学は、ピエモンテ州の主要な国立大学です。69の学士号、70の修士課程コースがあり、地域との協力で管理する博物館コレクションは膨大な量を誇っています。 「アジア・アフリカの言語と文化」コースでは、商業的解釈と人文科学および古典研究の最適な形での融合を目指し、 また、2018年には、アジア大陸に関するさまざまな分野に属する研究者のための活動支援センター「Istituto degli Studi sull’Asia」を設立しました。

La Scuola

フェデリコ2世・ナポリ大学

フェデリコ2世・ナポリ大学は、1224年に設立され、イタリアで3番目に歴史の古い大学です。創立以来、とりわけ科学と民法研究の分野においてはイタリアを代表する大学であり、現在は10の学部と2つの大学病院を持ち、学生総数は約100,000人に登っています。また、半数以上が医学、法律、科学の学部に所属し、イタリア南部最大の大学センターとなっています。その長い歴史に加え、 大学は、植物園の一部をなす著名な建築遺産や2つの科学博物館、その他ナポリの中心に数多くの歴史的建造物も所有しています。

La Scuola

ラ・スタターレ・ミラノ大学

ロンバルディア州の主要な大学であるミラノ大学「La Statale」は、8つの学部と2つの研究センターを持ち、インフラと人的資源への投資を行った最初のイタリアの大学の1つです。人文科学、社会科学、自然科学、物理科学といったあらゆる分野を網羅する広範な研究プログラムを実施するとともに、出版活動も行っています。アジアの言語および文化研究の分野においては、多くの学者を受け入れており、言語、異文化交流の学部をはじめ、東洋文化研究をベースとしながら、学部間を越えた学習の機会を提供しています。

La Scuola

ミラノ・ビコッカ大学

ミラノ・ビコッカ大学は、1998年に設立された若くダイナミックな教育機関であり、イタリア国内のみならず、世界でも有数の学術・研究拠点としての地位を急速に確立しています。幅広い学術・研究プログラムを有し、ライフサイエンスやバイオテクノロジー、認知科学や神経科学、経済学や金融学、物理学や物質科学など、いくつかの重要な分野に秀でています。さらには経済統計学、法学、科学、医学、社会学、心理学、教育科学など、さまざまな分野の専門家を育成する学際的な大学であり、地域の生産システムや社会全体と積極的に協力し、学生や研究者に刺激的で最先端の学術環境を提供しています。

La Scuola

ISMEO-The International Association for Mediterranean and Oriental Studies

ISMEOでは、アジア・アフリカ諸国の文化と言語、およびそれらと地中海沿岸地域との交流に関する研究プログラムを実施しており、各国の関係機関や国内外の団体と、文化的、科学的に協力関係を構築しています。特に、中近東ならびに極東諸国の文化・環境遺産の保存とそれを生かすための研究計画や、学者間の知識交換の促進、会議の開催、考古学キャンペーン、出版活動、支援プロジェクトなどを行っています。

La Scuola

イタリア文化会館

イタリア文化会館は、日本とイタリアの関係を促進することを目的とするイタリア政府の機関です。国内外を問わず、知識人や芸術家、文化事業者だけでなく、わが国との関係の構築や維持を望む一般市民のための出会いと対話の場でもあります。また、イタリアのショーケースとして最新の情報を発信するだけでなく、文化協力の取り組みや活動の原動力でもあり、海外のイタリア人コミュニティや、世界中で高まるイタリア文化への需要に応えるための重要な拠点となっています。

協力機関

La Scuola

フランス国立極東学院(EFEO)

1901年アジア文化研究促進のため設立され、現在はアジア全土に20以上の支部を有しています。京都支部は東京支部とともに50年以上にわたり、中国・日本研究の分野でフランスと日本の研究者のつながりを強化してきました。 2001年、ISEASとEFEOは公式の協力協定を締結、現在は同じ建物内に位置し、京都におけるヨーロッパの研究センターとして、共同で様々な活動を行っています。

La Scuola

京都大学人文科学研究所

中国、日本、韓国における文献研究の伝統と活動において、国内最大級のセンターである京都大学人文科学研究所は、東アジア人文情報科学研究センターと現代中国研究センターを主軸とし、東アジアの古代文明と現代社会の研究ツールの開発を使命としています。2001年にはISEAS、EFEOと協定を結び、以来共同で研究プロジェクトを企画、開催しています。

学術委員会

Silvana De Maio

イタリア文化会館・東京館長

Giorgio Amitrano

ナポリ東洋大学

Paolo Calvetti

ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学

Gianluca Coci

トリノ大学

Davide Marocco

フェデリコ2世・ナポリ大学

Antonella Baldi

ラ・スタターレ・ミラノ大学

Stefania Bandini

ミラノ・ビコッカ大学

Roberto Ciarla

ISMEO-The International Association for Mediterranean and Oriental Studies

スタッフ

所長

Silvana De Maio

ナポリ東洋大学教授。専門は日本語、日本文化。
2022年よりイタリア文化会館・東京館長、当館所長を兼任。

研究企画代表

Andrea De Antoni

2024年より研究企画代表。おもに日本の宗教とイタリアにおけるカトリックを専門とする社会文化人類学者。
現京都大学大学院人間・環境学研究科 准教授。
ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学、ウィーン大学、立命館大学、同志社大学にて研究および教職を兼任。

事務局

Makimi Yamamoto

事務業務全般ならびに研究者の研究活動と日本での生活全般をサポート。