Conferences and Workshops

通常、会議やワークショップは、日本およびヨーロッパの大学、研究機関との共同で開催しています。現在フランス国立極東学院と京都大学人文科学研究所が主要なパートナーとなっていますが、これに限らず、ISEASは30年以上にわたって日本における外国人研究者の国際的なコミュニティとして、さまざまな研究成果を発表する場を提供してきました。
日本における信仰と「知」のはざま - 中世・近世・近代を中心に - 北白川 EFEO Salon 2019-2020

Conferences and Workshops

日本における信仰と「知」のはざま - 中世・近世・近代を中心に - 北白川 EFEO Salon 2019-2020

キリシタン布教における理性と信仰

平岡隆二(京都大学人文科学研究所・准教授)

2020年2月21日 18:00 - 19:30

Italian School of East Asian Studies

西洋の科学知識がはじめて伝来したのはキリシタン時代(1549-c.1650)のことだった。特に九州に設置されたイエズス会の神学校(コレジオ)では正式な教育課程の一環として西洋の宇宙論(コスモロジー)がくわしく教授された。また宣教師らがそうした宇宙論知識を日本人に頻繁に紹介していたことも、彼らの手紙や報告、またキリシタン版をはじめとする出版物に多数見いだすことができる。

本報告では、それらの「科学」知識は、彼らが伝道しようとした「宗教」的な知識と分かちがたく結びついていたことを、具体的な史料をあげつつ考察したい。具体的には、その積極的な援用は、教義説明のとくに最初期において、キリスト教的創造神の存在を日本人に確実に証明し、それを足掛かりに他の教義へと展開して洗礼へといたる、という包括的な伝道図式の第一段階に位置づけられていたことを明らかにする。またその作業をつうじて、前近代における自然観や世界認識のあり方、その東西文化における違いや共通点など、より大きな問題群について考えるための手がかりをさぐりたい。