Conferences and Workshops

通常、会議やワークショップは、日本およびヨーロッパの大学、研究機関との共同で開催しています。現在フランス国立極東学院と京都大学人文科学研究所が主要なパートナーとなっていますが、これに限らず、ISEASは30年以上にわたって日本における外国人研究者の国際的なコミュニティとして、さまざまな研究成果を発表する場を提供してきました。
International Symposium "Affecting Spiritual Healing, Re-making (Alternative) Worlds"

Conferences and Workshops

国際シンポジウム「宗教・スピリチュアル的治療による情動と(代替的な)世界の再構築」

2024年12月7日〜8日

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International Symposium シンポジウム “Affecting Spiritual Healing, Re-making (Alternative) Worlds”SYMPOSIUM
Affecting Spiritual Healing, Re-making (Alternative) Worlds
2024, December 7-8
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Peatix

【登録締切】

「議論する(シンポジウム)」のみのご参加:2024年12月5日(木)

「議論する」+「経験する(懇親会)」:2024年11月30日(土)

 

本シンポジウムは、文化人類学・現象学の視点から、宗教的治療、情動・感覚、身体知覚、また「世界の再構築」という変容プロセスの関係性を掘り下げる。医療的介入を超えた治癒過程の体験に焦点を当て、従来の個人主義的な枠組みに捉われず、個を超えた変容の可能性を探求する。

文化人類学の現象学的研究の中では、治療過程における「世界の再構築」の重要性が議論されてきた。この概念はDasら(2001)によって提唱され、トラウマや暴力に対応するコミュニティや個人の変容努力を指し、苦しみへの対処、耐久、乗り越え、分解、または暴力の影響を超越することを、地域、人間関係、個々の生活の各レベルで行うものを指している。

しかし、この概念は個人の主体性と物語を過度に強調し、治癒の身体経験や個人の現実を変える能力に対する構造的制約を軽視しているという批判も存在する。さらに、集団的な治癒の次元を見落としている点や、西洋の個人主義に根ざしており、非西洋の視点を十分に考慮していない点も指摘されてきた。

本シンポジウムでは、これらのギャップを埋めることを目指し、多様な民族誌的な枠組みにおける宗教的・スピリチュアル治療の事例を紹介する。特に、情動・感情、身体的知覚に焦点を当てることで、新たな、代替的な世界の形成と再形成における間主体的な生きられた経験の重要性を強調する。これらの変容プロセスに光を当てることで、個人やコミュニティがどのように苦しみの経験を乗り越え、最終的に新しい世界と存在の方法を創り出すかについての理解を深めることを目指す。

このシンポジウムは「論じる」と「経験する」という二つの部分に分けられている。前者「論じる」部分では従来のシンポジウム形式で研究者がテーマについて学問的に論じるが、後者の「経験する」部分は参加者がシンポジウムの中核テーマを感覚を通じて探求する。前半と後半を通じて、テーマについてのより包括的な理解を目指している。

プログラム

12月7日(土)

13:00-13:05:ご挨拶、シンポジウムの概要と目的の説明(京都大学大学院人間・環境学研究科デ・アントーニ アンドレア)

DISCUSSING

1:00 PM – 1:05 PM: Andrea De Antoni (Kyoto University)

Opening Remarks and Symposium Overview

 

1:05 PM – 2:30 PM: Keynote Lecture: Thomas Csordas (UC San Diego)

Alterity and Identity in Religious Healing: The Case of Roman Catholic Exorcism

 

2:30 PM – 2:40 PM: Coffee Break

 

2:40 PM – 3:20 PM: Ran Muratsu (Tokyo University of Foreign Studies)

Distancing from the Emerged “Thing”: Religious Healing and Biomedicines in Pentecostal-Charismatic Churches in Benin

 

3:20 PM – 4:00 PM: Daniela Calvo (JSPS, Kyoto University)

Remaking a World in Afro-Brazilian Religions. Meaning-Making, Affects and Spiritual Healing Among Brazilian Immigrants in Japan

 

4:00 PM – 4:10 PM: Coffee Break

 

4:10 PM – 4:50 PM: Junko Iida (Kawasaki University of Medical Welfare)

Cutting the Birth, Unbinding the Spirit: Exorcist Rituals in Northern Thailand

 

4:50 PM – 5:45 PM: General Discussion 1

 

経験する

17:45-18:00:西部講堂へ移動

18:00~:交流会(ケータリング、ビュッフェ)

18:30-19:00:Thomas Csordasライブ

19:10-20:10:ALKDOライブ

 

12月8日(日)

10:30 AM – 10:35 AM: Andrea De Antoni (Kyoto University)

Opening Remarks

 

10:35 AM – 11:15 AM: Miho Ishii (Kyoto University)

From Passion to Compassion: Healing Rituals in an Independent Church in Southern Ghana

 

11:15 AM – 11:55 AM: Fumihiko Tsumura (Meijo University)

Something Rises: The Materiality of Possession and Magical Powers in Northeastern Thailand

 

11:55 AM – 12:05 PM: Coffee Break

 

12:05 PM – 12:45 PM: Andrea De Antoni (Kyoto University)

All Around me are Familiar Faces, Worn-out Places: Feelings and Environments (Re-)Making the Spirit Worlds in Contemporary Okinawa

 

12:45 – 13:00: Thomas Csordas (UC San Diego)

General Comments

 

13:00 PM – 1:30 PM: General Discussion 2

 

「経験する」の概要

 このライブパフォーマンスは、ワークショップのテーマに沿った文化的かつ情動的な視点を提供し、ワークショップの経験を豊かにすることを目的としている。トーマス・チョルダッシュは、人類学と現象学における画期的な研究で知られるだけでなく、本シンポジウムの基調講演者でもある。また、彼は才能あるシンガーソングライターでもあり、アコースティック・フォークロック音楽を作曲し、特に抵抗に焦点を当てている。彼のパフォーマンスは、学術的な議論、芸術的表現、「代替的な世界の再構築」に関する洞察を独自に融合させ、シンポジウムの体験を豊かにする。パフォーマンスと学術議論の組み合わせは、本イベントをテーマを単に知的に探求するだけでなく、生きた感覚的な経験を通じても探求させるものである。

 また、バンド「ALKDO」の招聘は、とりわけ「代替世界の構築」というシンポジウムのテーマに深く関わっているために重要だといえる。豊田市にある伝統的な日本家屋を改築し運営する文化施設「橋ノ下舎」を拠点に、ALKDOは地域コミュニティとの強い絆を築いている。彼らの音楽は異文化理解と共感を育み、参加者に日常を超えた体験を提供する。TURTLE ISLANDのフロントマンである永山愛樹とパーカッション奏者の竹舞を中心に結成されたALKDOは、独自のスタイルである「アコースティックアジアン・トラッドパンク」でアジアの音楽とリズムを融合させたスタイルをとる。彼らは橋ノ下舎での活動で、日本の伝統文化を取り入れ、音楽、アート、共同生活を探求する場を提供し、多様な人々が集う空間を創造しているが、その中でALKDOの音楽は、情動と身体的知覚を通じて深い共鳴を生み出し、個々の感覚を超えた共感と理解を促進する役割を果たしているといえる。

 このようなシンポジウム後のイベントは、文化的多様性や持続可能な未来に関する議論を補完し、参加者に単なる議論レベルに留まらない、深い洞察とインスピレーションを与えることが期待される。

 

ライブ

Thomas Csordas

プロフィール(https://anthropology.ucsd.edu/people/faculty/faculty-profiles/thomas-csordas.html)(ライブ時間:30分)

トーマス・チョルダッシュは、人類学と現象学における画期的な研究で知られるだけでなく、本シンポジウムの基調講演者でもある。また、彼は才能あるシンガーソングライターでもあり、アコースティック・フォークロック音楽を作曲し、特に抵抗に焦点を当てた音楽制作に取り組んでいる。

ALKDO

プロフィール(https://www.tunecore.co.jp/artists/ALKDO?lang=ja)(ライブ時間:1時間)

愛知県は三河、豊田市を拠点に国内外で活動する大所帯バンド「TURTLE ISLAND」のフロントマンである永山愛樹(Vo,G)と竹舞(Vo,太鼓)からなる最小編成であるThe acoustic Asian trad punk duo。アジア的なリズムとビートに乗せた唄とスピリット、シンプル且つ独自の音楽と唄の世界を表現する。基本は2人だが、その時々各地で様々なメンバーが加わりながら形を変え全国津々浦々巡業を続けている。 2012年からレーベルmicroActionと共に橋の下世界音楽祭を主催、また豊田市駅前にて古民家をリノベーションしたお座敷カルチャーセンター「橋ノ下舎」を運営し、音楽以外にもローカルワークとして様々な表現と多様な人々の集うコミュニケーションの場を日常的に創造し続けている。 バンド名「ALKDO/アルコド」とは、愛樹のルーツである朝鮮半島ハングルでアルは”naked”、コドは”TURTLE ISLAND”で、 ”Naked Turtle Island”要は”Acoustic Turtle Island”の意の造語である。