2014年、東京文京区の「切支丹屋敷跡」から出土した人骨はイタリア出身の宣教師「シドッチ」のものと判明、その人物像にあらためてスポットライトが当てられた。江戸時代中期の日本に潜入して捕らえられ、6代将軍の侍講新井白石から尋問を受けたジョヴァンニ・バッティスタ・シドティ(1667-1714)は、ヨーロッパの歴史・地理・風俗に関する情報やキリスト教の教義を伝えた。それらは白石の『西洋記聞』に納められたことでも知られている。
本書は、イタリアでの徹底的な調査を元に、新資料の発見も加えた初の伝記研究である。シドティの人となりや日本までの足取りを追い、彼の姓名や生没年月日をはじめ、教会での立場や肩書等についての様々な背景を紹介しながら、その全体像に迫る。
著者マリオ・トルチヴィア(Mario Torcivia)
1964年イタリア・シチリアのパレルモ生まれ。現在、パレルモ教区司祭であり、同じシチリアのカターニアにある聖パオロ神学院の霊的神学担当正教授。イタリア神学学会会員、イタリア典礼・聖人伝研究会会員、ローマの列聖調査申請者委員会委員、霊的神学フォーラム会員。ローマ教皇庁列聖省神学顧問(非常勤)も務める。